北海道自転車一周旅8日目:メンタルが完全に崩壊した180km【サロマ湖〜浜頓別】

8日目の朝。

 

正直言って、最悪な目覚めだった。

こっちに来てから、もちろん一番最悪な朝。

「頭痛が痛い」みたいな言い回しになってしまった、、、。

 

昨日、僕は豪雨の中140kmを走った。

もう本当、本当はそんなことしたくないんだけれど、こんな旅じゃないんだよ本当は、、、!!!

と思いながら走りました、、、、。

 

引き続き悪夢のような8日ですが、読んでみてくださいませ。

 

 

7日目はここから読めます。

北海道自転車一周旅7日目:悪夢の日々の始まりと、地獄の145km【知床〜サロマ湖】

 

 

計呂地交通公園 駅長の家_最悪な目覚め

僕は濡れた靴下を履くのが大嫌いだ。

この世の中で嫌いなものの3本指には入る。

 

みんなも嫌いだと思う。

 

だけれど、時には自分の意に反して履かなければならない時があることを僕は知った。

 

前日は雨だった。

なんども書くけれど、大雨、豪雨だった。

 

そんな中を何時間も走ったんだから当然靴下やサイクルウェアなど、その他諸々が乾くわけがなかった。

眠る前「明日には乾いてるっしょ!イージーイージー」と思っていた自分が恥ずかしい。

明日になれば、何かが変わるだろう、というただの現実逃避のほかなかった。

 

 

濡れたウェアと濡れた靴下を履いて、僕はSL機関車を出た。

少しだけれど、今日も雨だった。

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

もう泣きたいよなあ。

何しに来てるんだろう僕は、と何度も思った。

雨だと楽しめない人間日本代表です僕は。

 

計呂地交通公園 駅長の家と男の子

完全に目が座っている僕だけれど、一緒に泊まった人と出るタイミングが一緒だったから撮ってもらった。

 

今日の天気予報は大雨だ!

頑張るゾイゾイ!

 

国道239号線と238号線を使って北上する

今日のコースはいたってシンプル。

シンプルすぎる。

とにかく、上に進めば「枝幸」という街に着く。

当初はその町のキャンプ場に一泊する予定だったけれど、連日の雨と今日も雨ということで

物理的にも精神的にもキャンプをすることは不可能と思われた。

 

マジガチでゴールを決めずにスタートした。

そんなこともあると、それが旅なんだと自分に無理やり言い聞かせました。

 

濃霧のサロマ湖

走りながら右手に見えるサロマ湖に目をやった。

「もう湖じゃねえよ、、、、ただのおっかない海だろこれ、、、」

 

北海道は、気候も、自然のスケールも何もかもが東京とは違うようだ。

それを求めて来たんだけれど、少し勝手が違う。

 

コンビニエンスストア「ハナマス」の「看板

走り始めて5kmくらいでまたも謎のコンビニ「ハナマス」に寄った。

正直なところ、セコマに寄れなくて萎えポヨだけど文句は言ってられない。

「今がどん底だ今がどん底だ、贅沢はしちゃいけない」と言い聞かせるんだ。

 

適当に朝飯と行動食を買って先を急いだ。

急ぎたくないけれど、今日は絶対の絶対に雨にやられるのがわかっていたから、

のんびりはしてられない。

 

久々の雲間

「久々の雲間」って言う日本語がおかしいんだけれど、雲間ですら久々だった。

そのくらい長い間、僕は雲の下にいた。

うん、雲間だ。

ほんの少しだけど、僕はめちゃくちゃテンションが上がった。

僕はまるでアメリカの荒野を走っているような気分になって(こんな曇天なのに)、

レッチリのお気に入りプレイリストをかけた。

声に出しながら歌ったり、「フォーー!!」と叫んだり、

テンションが上がった時にやることは一通りした。

 

紋別に着いて、アップダウンが多くて、少し疲れを感じだ。

最悪な天気だなあ(笑)

足は重いし向かい風だし、何もかもがうまくいってなかった、この時。

 

 

走りながら、今日は本当にどこで寝るんだろう。

寒いし、天気悪いし、どうすればいいんだ、、、。

ずっとローテンションで漕いでいた。

 

なぜかわからないけど撮った写真。

今登置くなら絶対撮らないアングルと風景だけど、その時の僕は何を感じてこれを撮ったんだろう。

 

さらに、明日の宿を確保する

僕は今まで、その日の宿を確保することに精一杯だった。

だけれど、そういえば、昨日の夜SLの人たちは2日後に到着する稚内の宿を予約していたのだ。

その時僕はひたすらに萎えていたので行動に移さなかったが、走りながらなぜかそれを思い出した。

 

こんなどんよりした景色の前で30分くらい粘って、予約を取り続けた。

(とは言えこの景色は結構好き)

 

結果は全敗だった。

どこの個室も埋まっていて、みんな雨だから予約が早いなあと感心すると同時に、

こんな貧乏大学生が雨の中自転車で走ってるんだから譲ってくれよ!!!!

と言う謎理論が頭の中で繰り広げられているのだった。

 

この日は極端に写真が少ない。

写真を撮る気力がないくらいに、僕は心身共に限界を迎えていた。

 

だけど不幸中の幸い、紋別を過ぎると追い風に変わった。

そして、意外や意外今日はまだ今日は雨が降っていない。

とは言え予報ではいつ降ってもおかしくないし、雲もそう言う表情をしているから、気持ち的には降っているのと同じ。

 

 

昼飯を雄部の街で食べた。

めちゃくちゃ食べたけれど、気分が晴れないどころか、あと80km漕ぐのか、、

と沈んだ。

こう言う時は、止まらない方がいいのかもしれない。

 

めちゃくちゃレトロな看板を通り過ぎ、この道路標識を見たとき、僕の中でとめどなく安堵感が溢れて来た。

 

枝幸に到着

走りながら僕は、あることを計画していた。

枝幸から浜頓別までは約35km。

そして浜頓別までいけば宿がある。

だけど体力は限界だし、雨がまた降るし暗くなってしまう。

 

だったらバスで移動すればいいんだ!!!

なかなか名案だった。

 

枝幸について、まずバス会社に電話し、何時にどこから浜頓別に向かうのかを聞いた。

時間はあと2時間ほどあったが、のんびりしてたら間に合わなくなってしまう。

 

まず温泉に向かい、安堵で泣きそうになっている気持ちをなだめた。

疲れた時の温泉ほど最高なものはない。

しかも、この小さな町の、小さな温泉。

僕とおじいちゃんの二人しかいなかった。

 

枝幸には宿はなかなったのに、温泉と食事処がいくつもあった。

(地図に乗っている約半分の食事処は潰れていた)

どこのお店かわからないけど、めちゃくちゃ美味しかった。

でもすみません、多すぎて残しました。

本当にごめんなさい。

 

そして、枝幸から浜頓別へのバス停に向かった。

店を出ると、雨が降っていた。

よかった、雨の中走ることがなくて、本当に良かった。

 

バス停までは、ほんの少ししか距離がないからあまり濡れなかった。

バス停に着く頃には、もうだいぶ空は暗かったけれど、バスに乗って浜頓別に向かうことができる!

と言う事実が僕を安心させる。

 

浜頓別の宿は、先ほど予約したからもう大丈夫だ。

素泊まりで4500円くらいだったけれど、背に腹は変えられぬ。

 

枝幸からバスで浜頓別へ

バスの中は薄暗かったけれど、もう濡れなくていいんだ、心底安心したけれど、

ちゃんと街に着くまでは、どこか落ち着かない自分もいた。

 

だんだん本当に真っ暗になり、雨脚は増し、風がバスの窓を叩く音が恐かった。

 

浜頓別に到着した。

まるで、冬の北海道のような肌の感覚だった。

夏とは思えない、冷たくて鋭い風。

 

宿の方が出迎えてくれて、部屋に案内されたと同時に、荷物を全部バラバラにさせた。

やっと気を抜くことができる、そんなことを思ったのかもしれない。

 

でも、冷静になって、僕は何からそんなに怯えて何から逃げるように急いでいたんだろうと度々思う。

 

もっと、のんびり旅ができたらどんなにいいだろう、と思う。

まだできていないけれど、それができたなら北海道に来た甲斐があったと言えるのかもしれない。

 

明日はいよいよ宗谷岬へ

多くのライダーが北海道に来る理由の一つとして、「宗谷岬」へ行くことがあると思う。

 

その宗谷岬へ明日行くのだ。

ツイッターやインスタグラムで何度も見た、あの場所へ。

 

天気は悪いみたいだけれど、ライダー達にとっての聖域に行けばそんなことは関係ないのかもしれないとまで思った。

 

宗谷岬に行くことが、一つの節目。

そのくらい、大切な場所に向かう。